作品概要
ウェムディングの《時のピラミッド》
793年 – 1993年 - 3183年
《時のピラミッド》は、ウェムディングの町の誕生1200年を記念し、1993年に制作がはじまった。この作品は、「町が1200年前から存在している」という歴史的事実に基づき、時の流れをコンセプチュアルな彫刻で表現するものである。
《時のピラミッド》は幅・奥行き1.2メートル、高さ1.8メートルの石のブロック120基から構成される。このプロジェクトは即時に完成するものではなく、10年毎にひとつずつ石のブロックが設置されて進行していく。完成は1200年後の3183年となるのだが、これは以下の計算から導き出されたものである。
*13.8メートル四方の基盤に、縦横8列ずつのブロックを設置し、第1層を構成する。第1層は64基のブロックから構成される。
*第2層は第1層の2つのブロックをまたぐように設置していく。ブロックは縦横6列ずつとなり、ブロックの数は36基となる。
*同様に第3層は縦横4列ずつ、ブロックの数は16基となる。
*最終層の第4層は、縦横2列ずつ、ブロックの数は4基となる。
*これらのブロックは合計すると120基となる。
120基の石のブロックを10年間隔でひとつずつ設置していくと、完成までに1200年経過することになる。この《時のピラミッド》の完成までに必要な時間と、記録上確認できるウェムディングの1200年という歴史的な時間が一致するのは、他に類をみない偶然であることを指摘しておきたい。同様のプロジェクトを縦横7列で計算しておこなうとすれば、そのはじまりは1633年でなければならないし、縦横9列ならば2443年になるまで開始できない。
すなわち、《時のピラミッド》の彫刻は、1993年の「大聖年」にしかはじめられないということになる。
なお、プロジェクトの資金は《時のピラミッド》制作財団が保有するわずかな資本の利子でまかなわれている。
1993年に着工した《時のピラミッド》の建設地「プラッテ」は、町の北の端にある丘の上となった。
ウェムディングのインフォメーション・センター「客人のための家(ハウス・デス・ガステス)」では、20分の1の大きさの《時のピラミッド》の完成模型をみることができる。
マンフレッド・ラーバー、ウェムディング
Last revision: Fri, 16 Dec 2022